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12月議会の一般質問

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12月議会の一般質問が12、13日にありました。13日に私も「脱炭素と地域活性化」「沖ノ島環境保全協力金」について質問させていただきました。以下の動画でご覧いただけます。

脱炭素では、CO2削減量を国がクレジットとして認証し、売買するJクレジットの仕組み活用を提案。今年最多の1306万円となった協力金では、使途や今後の拡大を目指す方針などについて聞きました。

端的にいえば、脱炭素や環境保全をまちの活性化に生かすという内容です。趣旨は、HPに書きました。
https://higashiyouhei.com/2312gikai-shitumon/

執行部からは官民を問わずあらゆる分野の事業活動でクレジット創出の可能性を検討したいという答弁でした。クレジット発行のニュースも増えてきています。自治体では始まったばかりという段階ですが、ぜひとも名乗りをあげていただきたいと思います。

協力金については今夏沖ノ島に駐車した台数26000台に対し、協力口数は13000台とのことで、約5割の方が協力。協力金は本来市が負担する経費に充てられているため、やはり大きな成果だと思います。

一方、経費負担の軽減にはなっていますが、保全の新しい活動に結びついてはいません。条例で特別保護区域を指定して駐車料金を徴収し、清掃活動や管理従事者を雇用している先行事例もあります。協力金は強制的な徴収は難しいですが、条例を制定するなり、協力者増加を目指していくべきだと考えます。

また、農業分野も持続可能な食料システムの構築、環境負荷のかからない農業の推進が問われていますが、高齢農家の引退と担い手不足によって耕作放棄地が急増している昨今です。農地転用による、太陽光パネル設置も増えてきました。

一方で営農型太陽光発電設備(ソーラーシェアリング)には期待を寄せています。高い位置に設置された太陽光パネルで売電しながら、その下で農業を続ける手法です。

今後もっと追求したいことは、エネルギーの地産地消です。エネルギー自給は、縮小する社会において域内経済循環の基盤になるかと思われます。

また、脱炭素や環境保全と関連して、国の「オーガニックヴィレッジ宣言」や「フェアトレードタウン」認定の動きに関しても質問しました。

Jクレジットも含めて聞きなれない言葉も多いかと思いますが、急速に世の中は環境保全と経済的合理性の両立に向けて動き出しています。今後もできる限り最新の情報をキャッチして、執行部に提案、進捗を確認していきたいと思います。

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今回は、私も含めて10人の議員が一般質問を行いました。一般質問というのは、行政事務全般に議員が自由度高く質問する場です。それぞれの議員のカラーもあり、皆さん周到に準備して登壇するため、とにかく興味深い。以下、私の関心事に限って勝手にまとめさせていただきます。(各議員による報告は「議会だより」をお待ちください)

各議員の質問はこちら↓
https://www.city.tateyama.chiba.jp/files/300379748.pdf

(質問順)
◾️鈴木順子議員
教職員の療養休暇についての質問では、館山市内小中学校で働く260人の教職員のうち、R元年〜5年まで、各年数人の休暇取得者がいますが、代替職員は少ないことを指摘。そもそも県では講師が不足しており、希望者増加のためのPRに力を入れているとのことでした。

この問題は、教職員が職場環境、保護者とのやりとり、さまざまな要因で精神面でケアを必要としているケースが増えていること、他方、療養で欠員となった場合に、他の教職員に負担のしわ寄せがあるという二重の課題があります。総合型公務支援システムはかなり有用であるようですが、教職員の働き方改革はまだ道半ばと言わざるを得ません。

◾️渡辺雄二議員
第1、2子も含む学校給食費無償化についての質問でした。現在、館山市では県の補助制度を活用して第3子以降の学校給食費を無償化しており、市の負担は1400万円です。もし1、2子を含む場合、1億5000万円になるとのこと。市の財政状況を考えた場合、非常に厳しいという答えでした。

現在、県内で無償化にしているのは54自治体中53。そのうち12自治体が完全無償化で、42自治体が第3子のみということでした。

私は教育費、給食費は家庭の環境によらず、全国一律で平等であるべきで、国による支援を求める立場です。渡辺議員は、人口増加に成功したことで有名な明石市の元市長、泉房穂さんの事例を挙げていましたが、泉さんも本来は少子化対策は国が率先してやるべきと主張しています。

◾️鈴木ひとみ議員
鈴木順子議員も質問していましたが、北条海岸の養浜について。北条海岸は、強風で砂浜がえぐられて、護岸の基礎部分にあった石が露出してしまっています。海岸管理者の県も頭を悩ませているという回答でしたが、何度も同じことを繰り返していて、専門家による調査もないことには驚きを隠しえません。来年の夏季シーズンに海水浴場が開設できるかの重要な事案ですので、強く県に根本的な対処を要望してほしいと思います。

他には市の観光戦略についての質問もありました。市ではR7年に250万人の観光客、50万人の宿泊者数という目標を掲げています。R5年は9月までで140万人。達成はそう簡単ではなさそうですが、特に戦略も持ち合わせていない回答でした。

その他、「旅先納税システム」の質問もありましたが、同様に仕組みが複数存在することや導入費が割高ということもあって現在は導入は考えていないようです。

◾️望月昇議員
市の本庁舎は老朽化のため令和14年ごろに新設が予定されています。令和8年には計画策定に入るそうですが、それで間に合うのか。また庁舎建設基金も約12億円と、財源のめども立っていません。

私は建設場所について6月議会で、防災関係以外の市民窓口のみ駅前につくってはと提案しましたが、津波浸水区域であることから消極的な回答でした。今回の答弁では、旧南高跡地に加えて、今後移転が決まっている合同庁舎の跡地も候補に挙がりました。市としては、あらゆる可能性を排除せずに建設場の選定に動き出しているようです。

またおととし竣工した新学校給食センターは、これは市民の方も知らない人が多いかと思いますが、炊飯設備がありません。これを聞いて唖然としたのは議員になってからでした。今回の説明では、有事の際に、おかずも炊飯もできなくなることを避けて、分散させているそうです。お米は、館山産のコメですが、鴨川の施設で炊飯して毎日配送しています。この方が施設をもつより経費も安価に済むと言います。

地産地消、食育、一次産業振興もかねて給食は重要な機能を果たすことができるのですが、現行の給食センターでは不可能です。目先のコスト削減に引きずられてしまったのか…。リスク分散であれば、他にやれることはたくさんあるはずです。毎日3000食つくる給食ですので、今後も創意工夫を凝らしたいところ。

◾️瀬能孝夫議員
出生率の捉え方は重要な視点。日本の出生率は1.29と危機的ですが、実は既婚女性だけでみると、実は2に近いのです。一方、恋愛結婚の数に大きな変化はないですが、職場結婚、お見合い結婚が激減しています。つまり出会いの場が減っていることが出生率低下に大きく影響していることが見えてきます。瀬能議員は、上総地域や木更津市で行っているメタバース婚などの成功事例も含め、行政が「結婚に対する社会的なおぜん立てシステム」を積極的に支援すべきではとも訴えていました。

コロナ禍前は、市内のNPO法人による「安房コン」という婚活イベントが活況でした。私も一度スタッフを担当したことがありますが、実際に成婚に結びついた方々もいたことを思い出します。ぜひとも再開していただきたい。

話題は変わりますが、スケートボードパークについて市の新設は行き詰っていたのですが、駅前の旧サカモトビルで民間での計画が進んでいることが公になりました。ただ、その後事業者に話を聞きましたが、改修費が相当額にのぼりそうで、まだ実現するかはわからない状況とのことです。

◾️本澤栄里子議員
育児休業中の園児の継続利用期間の延長についての問いが印象的でした。館山市では、保育施設に通う園児がいる家庭で下の子が生まれて育児休業を取得する場合、6か月以上育児休業を取得する場合は出産から2ヵ月まで、6か月以内で職場復帰する場合は最大6か月まで、で上の園児は退所するのが原則となっています。

これは毎年、年度の終わりに近づくにつれ、保育園に入れない家庭が多くなってくることから、より必要な子に使ってもらうために退所となっているそうですが、小さな2児を同時に育てることや、子の教育環境の変化からいっても退所には疑問が残ります。市は北条こども園の開設も含めてより柔軟にニーズに対応できるように努力すると回答しています。

また不登校特例校設置についての質問も関心がありましたが、現在設置は国内小中学校で21カ所に限られるそうです。そんなに少ないのかと驚き。理由としては専門的人材の確保が難しいそうで、館山市においても同様の課題が想定されるという見解でした。

◾️鈴木明子議員
まず衝撃の数字としては、庁内で育児休業を取得した男性職員は、令和3年に1人4日間、令和4年は1人1日間、令和5年は1人30日間とのことでした。制度はあれど休みをとりづらい職場環境が現れています。「イクボス」というワードが出てきましたが、「育児」と「ボス」を組み合わせた造語で、「部下や同僚のワークライフバランスの向上を目指し、個人のキャリアを応援する上司のこと」を指すと言います。行政に限らず民間にあってもイクボスが増えないと育児休暇はとれないと思います。

また、館山市は令和7年までに女性管理職の割合を4割まで引き上げる計画があり、令和4年に34.1%とのことですので、ぜひともジェンダーギャップ解消に取り組んでいただきたいです。

◾️鈴木正一議員
農業活性化についての問いでは初めに、平成22年に1652戸あった農家が32%まで減少し532戸になっている状況の報告がありました。そのうち65歳以上が74%を占めるそうです。もはや、待ったなしとはこのことです。

大きな動きとしては、これまで市内6地区に分けて「人農地プラン」が進行してきましたが、さらなる農家戸数の減少、耕作放棄地の増加を鑑みて、国は土地の集約化を推進するため、「地域計画」に移行することが決定しました。いわゆる農地集約のための未来の設計図ともいえるもので、農水産課もここに注力していくそうです。

また農業の法人化について質問がありましたが私も同意見です。地域計画の調査、農地の集約化と同時に、地域での法人化を進め、効率的な営農、コストの削減、雇用環境の充実など、さまざまな利点を法人化で実現させていくべき。とはいえ突然個人農家に法人化してとってもハードルが高いので、行政が積極的にサポートしていくべきではないでしょうか。

◾️石井敏宏議員
まずは、私も先日投稿した、公共施設の予約がなぜ電話一本でできないのかという質問について。行政サイドの説明では、コミセンは特に年間6000件11万人が利用するため、営利か非営利かの確認、窓口業務にプラスして電話やFAXを併用した場合に、未確認、記載ミス、聞き間違いなどのトラブルが考えられるとのこと。

確かに昔ながらの考え方はわかるのですが、あまりにシステムを利用しなすぎの答えだと思います。ミスを起こさないためにシステムは発達してきていて、電話またはネットのみで必ず完結します。答弁を聞いて、行政特有の理由は見出せませんでした。

また、石井議員によると、社会体育施設と地域コミュニティ施設・福祉施設では料金の支払いも異なり、前者は前金でキャンセル時に返金なし、後者は当日現金払いのみでキャンセルしても負担なしという謎な仕組みのようです。

電話またはネット予約も含めて、担当部長は「議員おっしゃる通り」と個人的な見解も述べられていました。「市民にわかりやすいように受付の仕組みの導入に向けて利便性を向上させていきたい」とのことですので、早急な改善を期待します。

また、「安房地域の合併」という大きなテーマについても質問がありました。ご存じ平成の大合併では、安房は合併しなかったのですが、この公式見解というのは発表されていないようです。皆さんは、安房は合併したほうがよいと思いますか?

私個人も館山市と南房総市は合併すべきと主張する声を多く聞いています。どうして合併しないかというと、平成の大合併のように国主導による利点がないことが大きいです。南房総市は新しい市の計画にもとづく「合併特例債」という借入が長らく市の財政を支えています。本来やったほうがよくとも、国の支援もない状況でやるには負担が大きすぎるのですね。

なぜ平成の大合併で合併しなかったのかその理由については、「大規模事業についての考え方の相違」「新市の名称」「議員定数や任期」「行財政改革の考え方の相異」「意思決定機関である議会の反対」などが挙げられていました。これは公で答えられる話で、実際には他にも大小、真偽を問わずさまざまな理由があったと考えられます。

現在、館山市と南房総市は、館山が中心市として都市機能を担う「定住自立圏構想」を推進しておりますので、とにかくやれることから、行政事務の効率化、市民サービスの向上、そして県南の発信を協力して行えるよう努力していく必要があります。