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視察報告① 広島市(2024/10/9)

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総務委員会の視察、広島市の議場にて

広島市人口:120万人

テーマ「豪雨災害被災地の災害経験を生かした取組について」

政令指定都市なので規模は大きく異なりますが、H26年、H30年と2度にわたる豪雨災害に見舞われ、経験をどのように防災に生かしているのか聞きました。

同市は、太田川から搬出された土砂で堆積したデルタ地帯を三方の山が囲んでいます。平地が全体の17%なので古くから傾斜地へ居住地が移行してきました。

広島市(グーグルマップから引用)

また、地質が花崗岩で水分を含むと崩れやすい性質があります。こうした地域特性もあり、豪雨の被害が甚大化し、H26年には77人、H30年には28人の死者が出ました。

まずは、2つの災害について検証部会の項目や提言を聞きました。H30年豪雨の検証会議の提言では、

◾️人命が失われることを防ぐためには、住民自らが災害の危険性を我が事として認識することが極めて重要
◾️その後の避難行動について地域コミュニティの役割が大きい
とありました。

館山市も令和元年房総半島台風後に、検証結果を公表しています。
https://www.city.tateyama.chiba.jp/files/300358117.pdf

広島市が検証を受けて、強く取り組んでいるのが、地域防災リーダー(防災士)の養成。市が防災士養成講座を実施していて全額補助で受講できます。現在は、1575人が資格を有しています。

自主防災組織(町内会)に1人の防災士養成を目標にしているようですが、1900もの町内会があり、1575人はもう一歩とのこと。やはり大きなまちです。

この点は、館山市も、防災士養成講座受講補助金を交付しています。
https://www.city.tateyama.chiba.jp/anzen/page100144.html

ただ、養成するだけでなく、フォローアップ研修を行っていて、特に前年度取得した方を対象としたフォローアップ研修では避難所運営ゲームや先進的な取り組み事例の発表なども行っているようです。

次に驚いたのは、「わがまち防災マップの作成支援」です。自主防災組織にアドバイザーを派遣して、地域住民らが自ら地域を巡って、危険箇所を見える化し、避難場所や災害時使用施設の情報をまとめています。

H27〜R5年度の8年間で、全ての自主防災組織で作成が終了したとのこと。

そして、地域での防災訓練の支援。本市の9月議会の質問で、防災訓練の実施数が2%という実態を聞いた私としてはここは大きな関心事でした。

広島市では、地域から財源がないという声を受けて避難訓練、指定避難所運営訓練、応急訓練、防災意識啓発活動を対象に経費を補助をしています。
・小学校区:1組織あたり15万円/年を上限
・町内会単位:1組織あたり5万円/年を上限

実施数を聞いたところ、全ては調べられていないが、隔年に一回は全ての自主防災組織で実施できているのではないかという回答でした。

当初は少なかったようですが、補助を始めたところ増えたようです。補助は財政状況にも大きく関わりますが、やはり財源が必要という認識でした。

また、地域任せにせず、区役所職員や消防職員が企画を伴走している点も大きいと思います。館山市では、自主防災組織は100%近いですが、活動実態は活性しているとはいえません。

館山市では自主防災組織=町内会は150ほどあることが9月議会で分かりました。仮に1組織に5万円出したら年間750万円。

市民の命と財産を守るのが行政の使命だとしたら、この金額はそう高くはないと思います。そして、伴走するための制度として、「地域担当職員制度」を提案しました。ただ、町内会にお願いしているだけでは、高齢化もあって動き出しづらい。

手取り足取りは難しいでしょうが、行政が基準を設けてお膳立てすることが重要だと思います。

最後に、これはさすがに政令指定都市だからなせる技ですが、情報伝達手段がたきにわたっていました。

・防災行政無線
・サイレン設備
・防災情報メール
・緊急速報メール
・聴覚障害者用災害避難情報FAX
・防災情報電話通知サービス
・公式LINE
・避難誘導アプリ

防災行政無線は屋外スピーカー159箇所、屋内受信機は災害危険区域を対象に65歳以上には無償で貸し出しも行なっていて現在6000台とのこと。

公式LINEは14万中、防災情報は3万2652件の登録。アプリは10万件のダウンロード数。120万の人口とすると割合は低めですが、ここは今後の課題とのこと。

とにかく防災情報の発信は受け手の環境によるので、できるだけ手段が多いにこしたことはありません。

しかし財政が厳しい館山市。続いて北広島町では、「防災行政無線をなくした」まちとしてお話を伺いました。

広島市危機管理室の皆様、ご多用の中、視察の対応誠にありがとうございました!

また視察後に、「広島平和記念資料館」と「原爆ドーム」を訪れましたが、11日の帰省中に、日本被団協がノーベル平和賞を受賞したニュースを拝見して、大変驚きました。歴史が大きく動いた舞台に2日前にいたことに鳥肌が立ちました。

資料館は、平日にもかかわらず学生や世界各国の外国人で溢れかえっていました。核兵器廃絶に向けた長年の取り組みが評価されたことは、世界各国の方々の思いに変化が起きている証拠でもあります。

同団体そして広島市、広島県のご尽力に深く、深く敬意を表したいと思います。