行政視察の最終日は、「函館市地域交流まちづくりセンター」へ。
函館市といえば人口25万人の中核市。館山市とは規模はだいぶ異なりますが、「指定管理者制度」で運営する同センターで興味深いお話を伺いましたので、ご報告します。
歴史・文化の香る建物は、1923年に呉服店として建てられ、今年100周年を迎えたとのこと。途中、百貨店や函館市分庁舎として使われ一旦閉じますが、建物を残そうという市民の思いから大規模改修を経て、2007年に同センターに生まれ変わりました。
運営するのは、特定非営利活動法人NPOサポートはこだて。丁寧な説明をしてくださったのは、副センター長のMさんです。
中に入ると、広い受付に喫茶店のあるフリースペース。ここで喫茶店が休みの毎週水曜日、マルシェを開催しているようです。
奥に進むと、市民による盆栽展の準備が進んでいました。当初、展示活動はグレーだったようですが、指定管理者主催の形で推進。今では、なぜできなかったか誰も覚えていないようです。
壁をカレンダーにして、今月の行事がひと目で分かるかわいらしい場所がありました。毎月、飾りきれないほど多くの情報が集まるようです。この壁の使い方も指定管理者ならではの発想です。
レトロなエレベーターが現れて、一堂賞嘆の声。東北以北最古の手動式エレベーターで、これを守るために、この部分だけ5階建てを残しているそうです。建物のシンボルですね。
その他、1日1万円のフリースペースやまちづくり活動団体向けの格安ブース、レンタル会議室などもぐるりと回りましたが、基本は非営利活動は安価に、営利活動は一般的な価格帯にして支援と収益事業を明確に分けていることが特徴でした。
最後に質疑応答の時間には、委員から「予約は電話受け付けできるか」という質問があり、「予約システムもいれている」という回答。北海道発、公共施設の予約システム「ハープ」も使っています。
https://www.e-harp.jp/yoyacool/
実は私、知らなかったのですが、館山市の公共施設の予約は、現地で紙に書くのが必須のようです。つまり電話で空きが確認できても、現地に行かないと予約ができないのです
元ホテルマンというMさんは、「ホテルでもできてるんだから公共施設の予約でできないはずがない」と、電話受け付けを始めた経緯を語りました。大きなトラブルは特にないそうです。
それにしても、未だ紙で予約とっているとは驚き。「トラブルがないように」と規定を定めるのは分かるのですが、電話予約もできないとは、だいぶ原始的だと思います。
その他、移住サポートセンターの活動も聞きました。とはいってもあくまでセンターの運営が主で、移住対応は従といった感じ。
「移住は東川町のように本気でやらないと効果はでない」という話が印象的でした。北海道上川郡東川町は移住者で人口が増加している稀有なまちで、以前『東川スタイル―人口8000人のまちが共創する未来の価値基準』(2016)を読んだことがあります。
さて、Mさんの説明があまりにも充実して、書ききれないことばかりですが、全体として、指定管理者の豊かな発想で「やれること」を増やしている場所でした。
むしろ、人々が交流し、利用者増加を図る施設は、なるべく民間に運営を任せるべきだと思います。公共施設の更新や維持管理が課題となっておりますが、利用者目線で運営を進めることとセットで検討していかねばならないと感じさせられた視察でした。