
先日、館山市議会議員の有志で開催された観光まちづくりに関する勉強会に参加しました。テーマは、宿泊税の導入と観光地域づくり法人(DMO)の設立。館山市が観光政策の次のステージへ進もうとしていることを、改めて実感する機会となりました。

DMO(観光地域づくり法人)とは?
DMO(観光地域づくり法人)とは、地域の観光振興を民間主体で戦略的に進める法人です。
宿泊業・飲食業・交通・商業・一次産業・金融機関・行政など、多様な関係者が連携し、
・観光データの分析
・ターゲット設定
・観光戦略の立案
・プロモーションの実施
・観光投資の調整
を一体的に行う「観光地域経営の司令塔」として機能します。
従来の観光協会のように会員向けの事業や窓口、事務を行う組織ではなく、「稼ぐ観光」を生み出し、地域経済を持続的に活性化することが最大の目的です。
しかし何をやるにも先立つものが必要です。本市の財政状況では、観光に新たな自主財源を投じるのも不可能でしょう。。
そこで、はじまったのが「宿泊税」という法定税外目的税です。本市は他にも、入湯税や都市計画税というものがあります。
昨年度、館山市宿泊税導入に関する観光事業審議会が開催され、千葉県の宿泊税150円に対し、館山市が独自に150円を上乗せする方針について報告書がまとめられました。
館山市観光事業審議会 宿泊税導入に関する検討結果報告書
https://www.city.tateyama.chiba.jp/files/300393967.pdf
これにより、館山市の宿泊税は1人1泊あたり計300円となる見込みです。

千葉県の宿泊税は、県が一括して徴収し、市町村に配分する仕組みが採られます。県税150円分の配分額は、館山市の場合、年間約2,600万円規模と試算されています。
これに加え、市独自の上乗せ150円分を確保することで、試算では8,800万円の観光振興に充てる安定的な自主財源を新たに持つことになります。
宿泊税は法定外目的税であり、使途は「観光振興」に限定されます。
想定される活用分野は、
・観光人材育成
・インバウンド対応強化
・宿泊・飲食施設の環境整備
・デジタル観光基盤の構築
などです。
観光産業の「稼ぐ力」を高めるための投資財源として位置づけられています。
千葉県宿泊税の開始時期と館山市のスケジュール
千葉県の宿泊税開始時期は、現時点では正式公表前ですが、令和10年9月開始が有力とされています。千葉県では県税と市税を一体的に徴収する仕組みを取り入れたため、館山市の宿泊税も同時期の開始を目指して制度設計が進められています。
これに合わせ、館山市では観光まちづくり法人(DMO)を令和10年4月設立とするスケジュールが想定されています。宿泊税導入の半年前にDMOを立ち上げ、税収を受け入れる体制を整える狙いです。
DMO設立のハードルは確実に上がっている
一方で、DMO設立は決して容易ではありません。
国は近年、DMOの登録・更新要件を大幅に引き上げ、
・明確な観光戦略
・データに基づく市場分析
・自立的な運営体制
・実績に基づく評価
を厳格に求めるようになりました。
これまでの「とりあえずDMOを作る」時代は終わり、成果を出せるDMOのみが生き残る時代へ移行しています。
館山市が新たにDMO登録を目指す場合、最初から高水準の計画策定と体制構築が不可欠となります。
宿泊税とDMOは「観光投資の車の両輪」
宿泊税は財源。
DMOは戦略実行の司令塔。
この二つがそろって初めて、
観光投資 → 稼ぐ力向上 → 地域経済循環
という流れが成立します。
単に税を導入するだけでも、
単にDMOを設立するだけでも、
観光は持続的な成長産業にはなりません。
最後に ― 合意形成という最大の課題
こうした制度設計の先に、避けて通れないのが合意形成です。
宿泊事業者、飲食事業者、交通事業者、一次産業、金融機関、行政。多様な関係者が同じビジョンを共有できるか。
制度や組織以上に、「地域としてどこへ向かうのか」を共有できるかどうかが、最終的な成否を分けます。
館山市の宿泊税導入とDMO設立は、観光政策の転換点となる取り組みです。
この挑戦が、単なる制度導入に終わるのか、地域経済を動かす本物の改革となるのか。
今、まさに正念場を迎えています。