BBS掲示板

9月本番の事業仕分けに向け

投稿日:

昨日は丸一日、シンクタンク「構想日本」総括ディレクターでデジタル庁参与を務める伊藤伸さんを講師とした全庁職員対象の「事業仕分け」の模擬仕分けに参加しました。私は2年間、行財政改革委員会の委員に委嘱されています。

館山市は9月23、24日の2日間にわたり、市の事業を「公益性があるかどうか」「行政職員しかできないのかどうか」などを市民がチェックする事業仕分けを行う予定です。台風災害で令和元年の開催が中止となっており、2011年以来の開催とのこと。

構想日本の発案、全国各地で実施されている事業仕分け自体は耳にしていたものの、細かな解説を聞くことや実際に模擬に参加するのは初めてで、想像以上に収穫のあった1日でした。

まず対象となっている事業の担当課職員が、事業の概要やポイントを説明します。その後、「仕分け人」が一問一答で質疑し、説明者が回答。周りで聞いている市民=「判定人」が評価シートに特記事項を記入していきます。(今回は市職員)

最後に、以下の4つのいずれかに◯をして提出し、集計し評価を出します。
・不要・凍結すべき
・国・県・広域でやるべき
・要改善すべき
・現行通り・拡充すべき

もちろんこの場は議会ではないので、結果がそのまま議決されることはありませんが、執行部や議会にとって重要な指標になります。また、この場にいる方々が、無作為抽出で選ばれた方々であることがポイントです。

今回の事業仕分けでも、住民1000人が無作為に抽出され、判定人に招待されています。もちろん参加できる人は限られますが、今回は中止になった前回の方々にも声をかけた上で70〜80人ぐらいの参加が想定されるという話でした。

一般に、行政に意見する、例えばパブコメなどは、回答が集まりにくい傾向にあります。私も意識高い系の住民だったと思いますが、パブコメはやったことがなかった。何の意味があるのかわからなかったからです。(職員はしっかり読んでいるので今ではやった方がよいとは思います)

その点、この無作為抽出は一見強引に見えて、普段表に出ることはないが、まちの未来を真剣に考えている人にリーチする可能性が高く、アンケート結果にも一目瞭然となっていました。判定人となって評価シートを提出することで具体的に意見が反映されることになります。

この日は、午前と午後の2部に分かれて4つの課の事業が実際に仕分けされましたが、冒頭での伊藤さんの講義は大変興味深いものでした。

全ては書ききれませんが、ひとつだけ「公共」の考え方について。

「公」=「Public」に対して、「私」=「Private」と訳語がありますが、「官」=「 Government」に対して「民」は何でしょうか?
会場で答えられた人はいませんでしたが、この「民」は、「Public」と訳されるそうです。え、「公」=「民」てどうゆうこと?

訳語が先行するので、欧米の文化、考え方だとは思います。住民、国民、大衆は、そもそも私が集まったもの、「Public」な存在だということです。一人一人は個人、公共は不特定多数なものです。だからこそ、税金を払って、個人で解決できない一部分を行政に任せて運営している、それが官=自治体なのだということ。

官民連携、公民連携、と用語がたくさんあって、使い分けに困っていましたが、この話ですっきりしたことがあります。

官民連携は、「官」の領域、つまり行政主体の事業における民間との連携。公民連携は、官より広い「公」なので、民間提案型の事業連携ではないか、と。調べてみると、実際にこうした解説をしている論文などもありました。

こう考えると、今後のまちづくりに求められるのは、官民連携で公共サービスの質向上、支出削減を目指していくことも重要ですが、公民連携でチャレンジしていくことが問われるのかなと感じます。

ちょっと脱線してマニアックな話で終わってしまいましたが、伊藤さんは、この事業仕分けを通して、単に事業が市民目線でチェックされるだけでなく、市民側がまちへの「当事者意識」を高めるきっかけになることがより重要だとも語っていました。その可能性を秘めていると思います。

9月の事業仕分けに乞うご期待です。