
本日、本会議後の全員協議会で「公民館再編計画の策定が完了した」という報告がありました。この議題については多くの議員が質疑を行い、私も質問と意見を述べました。
実は今回の計画に対して、私自身もパブリックコメントを提出していました。事前に確認したところ、今回の公民館再編計画には合計75件の意見が寄せられていました。
https://www.city.tateyama.chiba.jp/kouminkan/page100250.html
以前書いた記事はこちら↓
パブコメの意見の内容は様々で、実態をよく把握したものから直感的なものまで幅広くありました。ただ、市の回答の中には「十分に答えになっているとは言い難い」と感じるものも見受けられました。
多くの意見が寄せられながら、計画の内容が何も変更されないまま完成となると、「パブリックコメントとは何なのか」と疑問に思う方もいるかもしれません。
そこで改めて、この制度の意味について考えてみたいと思います。
パブリックコメントとは何か
パブリックコメントの制度は、2000年代に地方自治体に広がった、それほど長い歴史がある制度ではありません。
行政が作成する計画や条例などは、市民生活に大きな影響を与えるため、行政や議会だけで決めるのではなく、市民から広く意見を募集する仕組みとして導入されてきました。
行政の側から見ると、計画策定までには
・関係団体との会合
・利用者へのアンケート
・審議会での議論
など、さまざまなプロセスを経ている場合が多く、パブリックコメントの意見だけで計画を大きく覆すことは現実的には難しい面もあります。
つまりパブリックコメントは、「計画を根本から変える仕組み」ではなく、審議会などに参加していない市民が意見を伝えるための機会という側面が強い制度です。
だからこそ重要になるのは、パブリックコメント以前の合意形成プロセスです。
学校再編との違い
今回の公民館再編計画を考えるうえで、私は小中学校の学校再編計画との違いが気になりました。
学校再編の際には、地域の学校体育館などで何度も住民説明会が開かれ、丁寧に意見交換が行われました。
学校は地域コミュニティの中心でもあるため、合意形成のプロセスには相当な時間と労力がかけられていました。
一方で、公民館再編のプロセスは少し見えにくい部分があります。
実は2年前に「今後の公民館のあり方」を考えるワークショップが1年かけて行われ、その成果は冊子としてまとめられていました。内容は非常に充実したものでしたが、今回の再編計画にどこまで反映されているのかは、かなり疑問を感じるところです。
あのワークショップはなんだったのでしょうか。
公民館は本当に「使われない施設」なのか
今回の計画では、
・公民館の稼働率は18.2%(R6年)
・維持管理コストが大きい
といった理由から、地域にある公民館を7つのゾーンに再編する方針が示されています。
しかし、公民館は地域にある数少ない「公の拠点」です。
私自身もこれまであまり利用してこなかった側ではありますが、全国を見ると、人口減少の時代だからこそ、地域コミュニティの拠点として活用しようという動きが広がっています。
例えば、
・防災活動
・高齢者の見守り
・地域の困りごとの共有と解決
・子どもの居場所づくり
など、行政だけでは担いきれない役割を、地域の拠点を通じて支える取り組みです。
現在の公民館は社会教育法の枠組みに縛られていますが、コミュニティセンターとして再編し、市長部局に移管する自治体も増えてきています。
つまり、
「使われていないから減らす」のではなく、
どうすれば使われる施設になるのかを考えることが、本来は先ではないかと思います。
公共施設等総合管理計画に則り、公共施設の延床面積を減らす方針にあることはわかります。しかし、もし減らすにせよ、もっと外へ出て住民の声を聞く機会を設けるべきではないでしょうか。
今回の計画はこれからが重要
最後に教育長からの答弁がありましたが、今回の計画は「完成した」とはいえ、今後の検討余地はまだ大きいとのことでした。
また、公民館の廃止が前提というわけではなく、
・地域が使いたいという意思があれば
・町内を横断した活用を検討する
・官民連携(PPP・PFIなど)も含めて検討する
といった余地も残されています。
来年度から館山市は大規模な組織改編を予定しており、このテーマもその中で扱われていくことになります。
したがって、すぐに施設が取り壊されるという状況ではありません。今後の動向を注視ながら、必要な点は意見していきたいと考えています。
パブリックコメントは意味があるのか
今回、パブリックコメントの回答は比較的簡潔なもので、計画の修正もほとんどありませんでした。
しかし、市役所の担当者は必ずすべての意見を読んでいます。意見の内容によっては内部で議論のきっかけになることもあります。
行政だけでは見えない現場の感覚や課題が、市民の意見から見えてくることもあるからです。
ですから、パブリックコメントは「批判を書く場」というより、
自分の思いや地域の実情を伝える機会
として捉えることが大切だと思います。
何も言わなければ、人口減少の流れの中で、社会は静かに縮小していきます。
だからこそ、
・行政に頼らずできることはないか
・地域で支え合える仕組みはないか
こうした視点も含めて考えていくことが重要です。
一方で、少し考えれば分かる通り、すべての住民の意見を聞き、それを計画に反映させることは物理的に不可能です。
パブリックコメントは、誰でも意見を出せる仕組みですが、一人ひとりの意見はどうしても「一つの意見」として扱われてしまいます。
本来、地方自治の根幹は
「住民自治」と「団体自治」
の二つです。
地域の住民自治組織の中で、日頃から地域の困りごとが共有され、そこで合意形成が行われていれば、その意見は基礎自治体が行う「団体自治」にとって無視できないものになります。
また、その方が行政の政策も地域に伝わりやすく、結果として政策の効果も高まります。
住民自治と団体自治の双方に力を入れなければ、本当の意味での「まちづくり」は成り立ちません。
決して簡単なことではありませんが、人口減少が進むこれからの社会では、むしろますます重要になっていくテーマだと思います。
私自身も、地域コミュニティを一歩進めた形である地域運営組織(RMO)などの取り組みを通じて、地域の力を活かす仕組みづくりに力を入れていきたいと思います。