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官民共創で地域は変わる ― 北川正恭さん講演

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講演する北川さん

本日は、千葉県南市議会議長会議員研修でした。
13市の議員が袖ヶ浦市市民会館に集まり、早稲田大学名誉教授・北川正恭さんの講演とトークセッションを拝聴しました。

北川さんは、地方自治に関わる者で知らぬ人はいない存在でしょう。

元三重県議、衆議院議員、三重県知事を歴任し、「生活者起点」を掲げて行政改革を推進。「事業評価システム」や徹底した情報公開を導入し、達成目標・手段・財源を住民に約束する「マニフェスト」は流行語大賞にもなりました。

2004年に設立された早稲田大学マニフェスト研究所(現・早稲田大学デモクラシー創造研究所)は、議会改革ランキングの公表などを通じて、日本の政治改革を牽引してきました。
その北川さんの講演は、熱量に満ち、地方議会の本質を真正面から問い直すものでした。


地方分権一括法が変えた「自治の前提」

まず強調されたのは、2000年の地方分権一括法の意味です。

あまり知られていませんが、それ以前の自治体は、国から降りてくる「機関委任事務」を処理する、いわば国の下請けでした。
そのため、地方議会も「追認機関」にとどまり、主体的に政策を決める余地は極めて限られていた。

しかし分権改革によって、国と地方は上下関係ではなく、対等協力の関係へと転換しました。
すなわち、

「自分たちの地域は、自分たちで決める」

という責任が、正式に地方へ移ったのです。

にもかかわらず、
今も議会は追認機関にとどまっていないか?

北川氏の問題提起は、ここから始まりました。


一般質問は「空気銃」?

私自身、議会では「提案型」の姿勢を意識してきたつもりです。
しかし北川さんは、議員の一般質問を「空気銃」に例えました。

各議員が一般質問で行政事務をただし、一定の成果を求める。
しかしそれは、議会全体の意思決定とは別次元の“個人戦”に過ぎない。

そもそも議員に与えられた制度的権限は多くありません。
「一般質問」こそが個性を発揮できる唯一の場、という現実もあります。

しかし北川さんの問いはこうです。

「個々の議員が何をするか」ではなく、
「議会が何を決めるか」こそが本質ではないか。

この視点転換は、極めて本質的でした。


チーム議会という発想

講演の中で最も印象に残ったのは、
議会事務局との一体運営=チーム議会
という考え方です。

市役所は執行機関。
議会は議決機関。

市には執行権がありますが、「やるかどうか」を決めるのは住民代表である議会です。
地方分権後、この責任は以前とは比べものにならないほど重くなっています。

その意思決定を支えるのが議会事務局です。

  • 議員は選挙で選ばれる
  • 事務局職員は制度・実務・過去経緯を熟知している

この両者が連携しなければ、政策形成能力を持つ議会にはならない。先進議会では、事務局職員が政策立案にも参画し、議会全体で討議する仕組みが定着しているとのことでした。

館山市では、議員18人に対して議会事務局は5人ほど。
しかも任命権者は首長です。制度上、ここに構造的課題があるのも事実です。

それでも、
議会が市民の声を束ねて団結すれば、大きな力が生まれる。

問題は、
誰が、どのように議員間討議をまとめるのか。

結局のところ、
「議員同士が本気で議論する場を持てているか」
ここが出発点だと強く感じました。


4市の議長・副議長で行われたトークセッションも北川さんのコメントで大いに盛り上がった

官民共創 ― 行政だけでは公共サービスは維持できない

後半は官民共創の話へ。

人口減少、高齢化、財政制約。
この現実の中で、行政がすべての公共サービスを担う時代は終わった

これからは、

  • 民間企業
  • NPO
  • 地域住民

と連携し、共に公共を担う「官民共創」が不可欠になる。

その前提条件は、
徹底した情報公開と透明性

公金を扱う以上、開かれた行政・開かれた議会でなければ、民間の力は生かせない。
この指摘も、まさにその通りだと感じました。


一点突破で地域は変わる

とはいえ、議員は選挙で選ばれる存在です。
合意形成が常に円滑に進むとは限らない。

だからこそ北川さんは、
「一点突破」
の重要性を説きました。

鹿児島県大崎町では、

  • ゴミ処分場の逼迫を契機に
  • 28品目分別を住民・企業・大学と連携して実施
  • リサイクル率日本一を達成
  • 収益を子育て支援へ還元

「何もない町」でも、
一つの課題を突破口に地域は変えられる。

この言葉は、地方が抱える多くの課題に向き合う私たちにとって、大きな示唆でした。


館山に引き寄せて考える

館山市にも、

  • 財政の逼迫
  • DMO構想
  • RMOの立ち上げ
  • 公共施設再編
  • 子育て支援
  • 交流拠点づくり

多くのテーマが横たわっています。

国は地方を変えてくれない。
地方が動き、地方議会が動けば、国は後から変わる。

議会が民意を束ね、執行部と対等に議論し、民間と共創し、地域の未来を描く。その起点に立つのが、私たち地方議会議員の責務なのだと、強く突きつけられた講演でした。


結び

御年81歳。
それでも誰よりもアグレッシブで、ユーモアに溢れ、核心を射抜く北川正恭さん。

「地方議会が動けば、地域は変わる。」

この言葉を胸に、館山の未来づくりに、引き続き真正面から取り組んでいきたいと思います。