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自治体DXと各種計画について

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3月議会の一般質問が終了しました。今回は11人の議員が通告しました。通告内容はこちら↓

https://www.city.tateyama.chiba.jp/files/300390751.pdf

まず、質問のDXに関連して。一般質問は一人持ち時間60分のため長丁場です。私は当然全ての質問を聞いてますが、各議員重要な興味深い質問、ポイントも多いのです。

しかし、紙の印刷費も多額のため仕方がないことですが、「議会だより」には700文字しか載せられず、これでは市民の関心を引き出すのも難しいのではと感じます。傍聴もちらほらと来ていただけますが、やはり全体を聞く方はおられません。

もっとポイントのみ抽出して、タイムリーに発信できる方法はないか、議会が取り組むべきDXだと思います。現状、議員の活動に対して、その意義が十分に発揮されていないように感じています。

今回は、質問もAIの要約を参考にまとめたいと思います。全文を読むよりは、端的に何の質問かお分かりいただけるのではないでしょうか。

私の通告内容はこちら。

全体の動画はユーチューブの動画でも配信(47:18から)されていますので、ぜひご覧ください。冒頭、下関視察のご報告とお礼を述べました!

1. 自治体DXについて

DXとは単なるデジタル化ではなく、組織や社会の根本的な変革を伴うもの。社会全体のデジタル化が進み、GIGAスクール構想の第2期が開始。今後、行政にもさらなるDXの推進が求められる。

DXは業務効率化・生産性向上の手段であり、少子高齢化や労働力不足などの「2040年問題」に対応するための重要施策。

(質問内容)

・自治体DXの推進計画において、市の取り組みは?
・生成AIの活用について、市の職員の利用環境と状況は?
・今後の庁内DXの推進方針は?

2. 各種計画について

予算審査で「〇〇計画」の策定費用が繰り返し計上されており、全体のコストが気になる。

令和7~8年度に都市計画マスタープランの見直しと立地適正化計画の新規策定が予定されており、これらは「まちづくり」の重要な計画。

(質問内容)

・過去5年間の行政計画の策定・更新費用の合計は?
・都市計画マスタープラン・立地適正化計画に住民の意見をどう反映するのか?
・住民が「まちの未来」を自分ごととして考えられるよう、地区別の現況分析や意見交換の機会を増やすべきでは? 市の見解は?

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それでは、以下ポイントを解説します。

◉DX化に関することとして、「R6年度の採用の実質倍率」と「自己都合の離職者数」を再質問の冒頭で聞きました。

実質倍率:3.79倍(過去最低)
自己都合離職者:20人程度(過去最多)

いずれも過去最低、最多を更新しました。昨年6月に質問したことですが、さらに状況は悪化しており、実は人材的にも相当厳しい局面を迎えています。

この状況が今後改善するとも限りません。人員が足りない状況をどうカバーするかという点でもDXに真剣に向き合わねばならないでしょう。それでは答弁に入ります。

・自治体DXの推進計画において、市の取り組みは?

(答)市は、「自治体の情報システムの標準化・共通化」に取り組み、他の自治体よりも1年前倒しして移行作業を完了しました。安定運用後にDX体制を強化する方針です。

⇒例えば窓口の手続きのオンライン化など住民と接する場面、そしてその後内部で処理する場面、どちらも国が「標準準拠システム」の導入を推進しており、これを前倒しして完了したとのこと。

このことは職員さんの着実な努力の結果と評価されるべきだと思います。今後、いわゆる「書かない窓口」をはじめ、DX化された行政事務を実践する土台が整ったということです。

しかし、いずれのシステムも高額な費用がかかるため、いつから導入されるかの明言はありませんでした。次のアクションについては、今後注視していきたいと思います。

・生成AIの活用について、市の職員の利用環境と状況は?

(答) AI議事録作成支援ツールを導入し業務効率化を進めていますが、生成AIの活用は情報セキュリティの課題から慎重に検討しています。

⇒AI議事録作成では、庁内3分の2に当たる職員が利用し、時間も590時間から255時間の約半分に削減。費用としては、年間35万円分の人件費に当たる効果が出ているとの回答でした。

一般的な生成AIは、導入している自治体もありますが、これにはやはり多額の費用がかかるとのこと。急速に発展している領域なので、今後もアンテナを高く張っていただくことを要望しました。

・今後の庁内DXの推進方針は?

(答)副市長を最高情報統括責任者いわゆるCIOとした館山市DX推進体制のもと、第4次館山市行財政改革方針に示した計画に取り組んでいきます。

⇒総務省の自治体DX推進計画には「CIO のマネジメントを専門的知見から補佐する CIO 補佐官等については、外部人材の活用を積極的に検討する」とあります。相当難解で分野横断的な施策だと思いますので、外部人材については必要性の確認を要望しました。

・過去5年間の行政計画の策定・更新費用の合計は?

(答)令和元年度から令和5年度の5年間、計画の策定又は更新を委託した計画は21計画あり、その費用の合計は、1億931万9,705円となっています。

⇒この数字に対して評価を聞くと、「予算査定で精査した結果でもあり、必要な支出であった」という回答がありました。

ここでご紹介したのが、昨年5月に発刊された「週刊東洋経済」。タイトルは、コンサルに『喰われる自治体』。

初代地方創生担当相だった石破現首相が自らインタビューの中で、「東京のコンサル頼みではなく自治体が自ら考えた政策を」と訴えています。

一部引用しますと、「きれいな図表がついてストーリーはだいだい一緒。見栄えがよくても、自分で考えていないところは成功しなかった。逆に洗練はされていないが、自分達で七転八倒して考えたものは一眼でわかったし、これはよいというところはやはり伸びた」と述べられています。

・自力で策定した計画はないのか

(答)委託せず職員のみで策定した計画方針等も多数ございます。例を挙げますと、以下です。

第4次行財政改革方針
https://www.city.tateyama.chiba.jp/files/300389571.pdf

公共施設等総合管理計画
https://www.city.tateyama.chiba.jp/files/300372352.pdf

館山市立小中学校再編計画
https://www.city.tateyama.chiba.jp/files/300388950.pdf

⇒答弁で初めて知りましたが、特に上記の計画は内容も濃く、おそらく難易度もとても高い計画です。どれも大変重要なことが書かれていますので、未読の方はぜひご覧ください。

正直、この計画にコンサルが入っていなかったことには驚きました。

他の質問で、石井敏宏議員が「計画のうち、コンサルがつくったものはすぐわかる。100ページあっても読むべきページは1ページぐらいだ」と話していて、同感でした。

石井議員は、「自力でつくったものは自信をもっていいのでは」と締めていましたが、その通りだと思います。

大変でしょうが、つくられた方には相当な技量、知識が貯まります。こうした人材育成の投資を行っていくのも、行政の重要な課題だと思います。

・都市計画マスタープラン・立地適正化計画に住民の意見をどう反映するのか?

(答)令和6年8月から9月にかけてアンケート形式による市民意識調査を、また同年10月26日及び11月4日にワークショップ形式の地区別懇談会を、次期総合計画の策定作業と共同で実施したところです。

⇒募集のチラシには書かれていたのですが、地区別懇談会が都市計画マスタープラン・立地適正化計画と共有した場だったとは答弁で初めて知りました。

確かに、同じような質問を何度も聞かれても住民も困ってしまうでしょう。しかし、そもそも「館山の未来を考えよう」と呼びかけてどれほどの方々が興味を持つのか。大事なテーマですが、私は範囲が広すぎると思います。

実際に参加者は、全体で24人と低調だったようです。無理はありません。

「民意を汲み取る」、「行政と市民が協働する」これは民主主義の最大のテーマだと思います。そのための大きな方策として、これまで、地域担当職員制度「地域運営組織」を質問したのでした。

私見では、まちづくり計画の地区別計画を住民と共に策定するのが、市民協働の第一歩です。

特にこれから始まる立地適正化計画は、「居住誘導区域」などを設けて、都市機能を保ちつつ、その他の郊外ともネットワークを結んでいきましょうという大変デリケートで住民に身近な計画です。

・住民が「まちの未来」を自分ごととして考えられるよう、地区別の現況分析や意見交換の機会を増やすべきでは? 市の見解は?

(答)市内の各地区において、“将来にわたってどのようなまちづくりを推進していくのか”といったテーマに関しては、市民の皆様にも“自分ごと” として捉えていただき、中長期的な視点から関わっていただくことも大切であると考えています。

⇒再質問で、総合計画、都市マスタープランに地区別の現在、将来のデータを掲載することを求めましたが、こちらは前向きな答弁をいただきました。

・地区別の「市長と語ろう」を実施しませんか?市長!

最後に、こうしたデータの分析、提示を踏まえて、森市長に地区別の巡回を要望しました。

市長によると、これまでも機を捉えて、さまざまな場を設けているそうです。

一方、フリートークで市長と語ることも有意義ですが、総合計画や都市計画マスタープランなど具体的なまちづくりプランをもとに語ることとは、レイヤーが全く異なります。

いわゆる「市長と語ろう」は、地区の陳情合戦になってしまう傾向性も高いことから、実施には相当な意欲が必要となります。

市長からは、前向きな答弁がありました。市長と語ろうは、森市長の公約でもあります。今後、地区ごとの機会が設けられるのか、注目していきたいと思います。

これなくしては、総合計画、都市計画マスタープラン、立地適正化計画の効力は半減以下になると思われます。

単に行政主導の計画をつくるのではなく、地域の住民が身近な地域について考え、行動に移すきっかけとなる計画に仕上げていただくよう強く要望します。