2月26日からの第1回館山市議会が3月22日、閉会しました。各委員会での審議について委員長から報告があり、1億3824万円の補正予算を含む、35議案が原案通り可決されました。
補正予算は、主に「住民税均等割のみ課税世帯」(10万円)と「非課税世帯」(児童1人当たり5万円)を対象とした国の物価高騰対策と館山中の建設費。給付金は今月から申請書発送予定です。
今回は当初予算発表の議会であるため、予算審査特別委員会が開かれ、内容は最終日に鈴木順子委員長から報告されました。
当初予算は以下から誰でも見ることができます。
https://www.city.tateyama.chiba.jp/files/300381574.pdf
以前も書いたとおり、数年前から市は基金の枯渇を回避するよう行財政改革の進行中で、余剰の予算はほとんどありません。現実、予算査定では評価の高いアイデアも見送らざるをえなかったようです。
それでも、1000円単位で絞り上げたのが今回の当初予算とのこと。確かに、額の大きい真新しい予算は見当たりません。
しかし、この状況下でも発達障害児の早期支援を行う「マザーズホーム運営事業」は前年比4倍に拡充し、産後ケア事業も手厚くなっています。また移住定住事業では課題だった県内移住に少額でも支援を行い、市の姿勢を示しています。
みなと振興費では、さかなクンを迎えたシンポジウムが開かれる点は、地域の子どもたちの喜ぶ顔が目に浮かびます。攻めにでる事業としては、やはり船形漁港を中心とした「海業」でしょう。一般質問では、私も「トラフグ」の養殖を提案させていただきました。
予算審査は半数の9人の議員が委員となって全事業を対象に行われました。
上記のように評価できる点も多々あるものの、令和9年に枯渇が危ぶまれる財政調整基金の課題をどうするのか。正直、個々の事業の精査では、その改善を見受けることはできませんでした。また、対案を示す場でもありません。
税収は、単に生産年齢人口が減って納税が減ることだけでなく、国からの交付金は人口に連動していますので減っていく可能性が高いです。高齢化や障害者、生活保護などの社会保障費は高止まりなので、今後さらに厳しい財政状況になっていくことは想定の範囲内にあります。
一発逆転の秘策も見当たりません。直接の支援は前回も書いたとおり「ふるさと納税」です。稼ぐ部門は、ほぼこのカードのみという状況です。行政は稼ぐことに不得手です。公共性が常に問われるからです。一方、まちづくりのビジョンを示し、このまちの独自性を引き出すのは行政と民間の協働以外にはなしえません。
この先、10年、20年を見越した総合的な戦略が必要です。そのため、令和8年度からの総合戦略は大変重要なのです。今回、一般質問では来年度から始まる2年間の策定プロセスでは、地区懇談会、民間団体へのヒアリングをはじめ、積極的に市民の声を聞く場を設けてほしいと要望しました。
昨日は、市長はじめ三役による「市民の声を聴く会」がコミュニティセンターで開かれました。私は温水プールの最後の大会に出ていて参加できませんでしたが、多くの議論や要望があったと聞きました。
今回の議会で4回目で、ようやく1周した段階ではありますが、今後の10年が館山市の正念場だという当初の認識は、知れば知るほどますます現実味を帯びています。
すぐに破綻とかそういうことではありませんが、これまで先送りされてきた課題に真摯に向き合っていかねばならない。そういう意味では、今回の市民の声を聴く会のように、現状をなるべく多くの市民に知らせて、行政任せではなく、共に10年、20年後の未来をつくっていく、そうした場づくり、アイデアづくり、そして行動力が問われると思っています。