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12月議会初日 補正予算質疑

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昨日、館山市の第4回定例議会が開会しました。今回は条例や一般議案11件、補正予算6件の17議案が上程されています。

初日は、「先議」(委員会付託を省略して会期中に議決すること)で食のまちづくり拠点施設(道の駅グリーンファーム館山)の農園整備事業で6754万円の補正予算が議案にあがり、私を含めて4人の議員が質疑を行いました。

整備の概要は以下となっています。
◾️農業用ハウスや付帯設備:3642万円
400m2の農業用ハウスに、最新設備のスマート農業の設備を整え、イチゴ栽培を行う計画です。

◾️暗渠排水設備整備:3112万円
露地の農園に暗渠を整備し、土壌改良を行います。また従来計画にあった貸農園を始めるとのことです。

資材は、市内に事業所のある企業による「企業版ふるさと納税」による寄付で、設置費用を市が負担します。財源は、前澤友作館山応援基金です。

予定されている農園整備事業

動画冒頭でもお伝えしましたが、食のまちづくり拠点は開設1年未満で、日々改善のため努力されている方々には心から敬意を表する次第です。

その上で、この半年ほど私のもとにも道の駅に対して、さまざまな意見が寄せられてきました。多くは、「地元産の農産物が少なすぎるのでは?」ということでした。

農家さんに話を聞いても、直売所や道の駅も多いこの地域、他にも出す場所がある中で、気乗りしないといったお話も多く、やはりそこは一から「信頼関係を築く」他に、解決方法はないと感じていました。

そんな中で、議会直前の11月20日の全員協議会で、今回の事業案の説明があったため、議員からも多くの質問が飛び交いました。「本当にイチゴでいいのか?」「採算がとれるのか?」「他にやることがあるのでは?」等々。

あまり時間がありませんでしたが、私も知り合いのイチゴ農家さんにヒアリングを行い、質疑に臨みました。内容を精査して、より良い事業に向かってほしいという思いです。

<質疑内容>
1.食のまちづくり拠点施設農園整備事業について、なぜ先議で扱われるのか伺います。
2.当該農業用ハウスで行う事業内容を伺います。
3.今回の投資をどのように市全体の農業活性化につなげ、評価、改善を行うのか伺います。
4.食のまちづくり拠点施設に活用する予定の前澤友作館山応援基金の残高を伺います。

内容は以下のyoutubeでご覧いただけます。同じ議案に4人が質疑しまして、私は3番目の55:30あたりからです。

https://www.youtube.com/clip/UgkxI_iCv7UiyDMGapJDH9FHt2UVlZtlb4rq (クリップ)

先議とは、委員会付託を省略して会期の最終日を待たずに採決をとることをいいます。災害など緊急的な事案には有用な手法ですが、委員会の議論がないため好ましいプロセスとはいえません。

なぜ先議になったかについては、
①5月に市内に事業所がある企業から企業版ふるさと納税で寄付(資材3000万円分)があった
②指定管理者と協議を続け10月に内容が固まった
③企業版ふるさと納税制度の期限が今年度までだったので、少しでも工事を早くする必要があった

とのことです。

寄付を提案いただいた企業には感謝ですし、確かに機を逃さずに今年度に事業化せねばなりません。ただし、寄付に引きづられて多額な資金が流れるようなら本末転倒です。

やはり公金を活用する事業なので、合意形成が未熟なまま進めることはあらぬ誤解を招くことにもなりかねません。今後は、余裕をもって進めていただくよう要望しました。

農業用ハウスは、先に書いた通り、いわゆる最新設備の「スマート農業」で、喫緊の課題となっているイチゴ農家の担い手不足に対して就農支援事業も展開するという回答がありました。

一方、スマート農業を実践してイチゴ栽培を行っている農家はこの地域で数少ない(館山にない?)のです。

スマート農業は人手を省力するなどさまざまな利点があることはもちろん理解しています。しかし、規模を前提として初期投資に見合った収益が上がるのかが最大のポイントだと思います。

これを指導する方は、道の駅の生産者協議会に属するイチゴ農家さんとのこと。スマート農業を実践されているか?については明確な回答もありませんでしたが、まずは地域内外のさまざまな農家さんに、収支を含めた経営ノウハウを学ぶことが先決ではないでしょうか。

貸農園に関しては異論はありません。近隣で貸農園を長年実践している農家さんのお話も聞いており、二地域居住者も多く、就農に発展した方もいるといいます。

館山は都心にほど近く、自然環境が整っているので、二地域居住に比較的適している地域です。この点をぜひ伸ばしていただきたいですし、そのための暗渠排水工事は必須です。

投資に対して、どのように市の農業活性化につなげていくのか、評価と改善については、体験メニューの拡充により、年間6600人以上の利用者増加、就農希望者5人を育成することなど説明がありました。

就農支援に対しては、今後担い手不足から増える可能性がある「空きハウス」の活用について提案しました。資材の高騰から施設園芸は、初期投資のリスクが大幅に高まっており、新規就農には空きハウスの活用が必須だと考えます。

また、今回のイチゴ農園は規模も小さく高設栽培で、車椅子やベビーカーの来園に限り、一般のイチゴ狩りは市内の観光農園を案内する方針で、民業圧迫は起こり得ないという説明もありました。

最後に、前澤友作様よりご寄付いただいた20億円のうち、食のまちづくり拠点に割り当てられた予算残高は、「3億円」との回答でした。

市長、副市長なども答弁に立たれまして、観光にとっていかに「食」が重要か、そして基金の活用も柔軟に行っていきたいという回答がありました。

行政の補助などによる公金事業の最大の欠点は、責任の所在が曖昧になることで、経営力が育たないことにあるという指摘が多数あります。

実業家の前澤様にご寄付いただいた貴重な財源だからこそ、市の活性化に寄与するように活用いただきたいですし、我々議員も、その点を見守り、できる限り提案していきたいと思います。

本議案は、全会一致で可決されました。ぜひとも食のまちづくり拠点のさらなる発展へ向けて前進していただきたいと願います。

私の一般質問は、12月9日の10時〜になりました。一般質問の内容については、追って解説したいと思います。