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12月議会の一般質問(解説)

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12月議会の一般質問について事前に狙いをお伝えします。12月9、10日が一般質問で11人が通告しています。私は9日10時のトップバッターとなりました。

質問内容はこちら↓
一、学校再編後のコミュニティ運営について
1、富崎小学校閉校後の富崎地区の変化について市の見解を伺います。
2、神余地区の地域運営の在り方について市の評価を伺います。
3、神余地区の移住促進について市がどのように伴走するのか伺います。
4、学校再編後の学校と地域の関わりについて伺います。

二、地域運営組織について
1、現在の取組状況と課題について伺います。
2、地域運営組織の拡大に向けた展望について市の見解を伺います。

三、わがまち防災マップについて
広島市では、自主防災組織にアドバイザーを派遣し、住民と地域を巡ってわがまち防災マップを作成しています。館山市での導入について、市の見解を伺います。

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★学校再編について

令和4年3月に「将来に向けた学校のあり方に関する基本指針」が定められてから2年半、今年11月に「館山市立小中学校再編計画」が示されました。

まずは関係者の皆さまには度重なる協議について心から敬意を表します。

計画は以下で確認できますので、ご覧ください。
https://www.city.tateyama.chiba.jp/files/300388950.pdf

概要としては、小学校は令和9年度までに、10校から5校に、中学校は3校から2校に統合し、令和13年度の館山中と第一中の統合を経て、新たに14年度以降の那古・船形地区の小学校統合を検討する内容となっています。

ただ減らすのではなく、安房初の小規模特認校や現豊房小を令和9年度以降に不登校児支援の施設として活用する方針など現代の教育ニーズに寄り添った点は画期的です。

一方、最後まで協議が続いたのは統廃合に反対の立場を貫いた神余地区でした。

最終的に決着が着いたのが、条件付きで神余小を小規模特認校の分校として存続させること。

その条件とは、現在19人の児童数が2年半後のR9年5月1日時点で36人以上となること。またR10年度以降の5年間も36人以上が確保できる見込みがあることなどです。(詳しくは計画のP42とP46をご覧ください)

条件にあるように、この学校再編の基準は複式学級の解消、少なくとも全ての学級単位でグループ学習ができる環境の確保です。

度合いは異なれど、どの地区も学校が存続してほしいのは当然のことですから、神余地区だけを特例と扱うことはできないでしょう。

何十回にも及ぶ協議の中で、ある意味では苦肉の策として提示されたのが、今回の条件だったと推測します。

そして、計画の策定は完成し、パブリックコメントを経て公開されました。ここが現在地です。

私は複式学級の是非は確かにあると思っています。アクティブラーニングの見地からすると、他学年の子と教え合う教育に効果があるとする研究もあります。

しかし、館山市の出生数は、R5年度に199人。ついに200人を下回りました。全体で4万3605人(12月1日現在)の館山市民のうち、昨年生まれた子は、199人なのです。想像を絶する少子化。誰もがこの数字のインパクトを受け止めねばなりません。

児童数がこれほど減少しているがために行う再編計画ですから、どこかに基準を設けねば、平等性に欠けたアンバランスなものになるでしょう。また、ただでさえ多忙化している教育現場で、複式学級の先進事例にあるような教育活動は教員の育成も含めて難しいと感じました。

一方で、強行すれば禍根を残しかねない非常にデリケートな事案だっただけに、条件付きでも合意した市教委と同地区の双方の歩み寄りに、ほっと胸をなでおろしました。

もちろん、これで終わりではなく、むしろ新たな時代が始まったという認識です。

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★学校再編後のコミュニティ運営について

地区の意見の中にも、「再編は致し方ないが、今後のコミュニティが希薄化するのが心配」といった内容がみられました。これは当然のことです。

まずは、直近2012年に学校がなくなった富崎地区で何が起きたのか、聞いてみたいと思います。

直近20年間の富崎地区の世帯数と人口

そして、条件付きで存続した神余地区ですが、2年半で児童数を倍近くまで増加させることは、大変厳しい道のりになることでしょう。

それでもこの地区は、条件に納得をして、住民主体で移住促進活動の取り組みを始めました。そもそも、神余地区のコミュニティ活動が充実していることは広く知られていることですが、新たに「神余かえでプラン委員会」が組織されました。

「全体進行」や「移住促進部」「魅力発信部」「イベント部」など業務を分担して、すでに先進地域に視察などにも行っています。本気で、学校を存続させようとしているのです。

こうした地域での活動もありますが、市が今後、どのように移住促進を伴走していくのかお聞きしたいと思います。

この質問を通告した後に分かりすでに公開されましたが、市教委は「学校PRパンフレット」を作成しました。教育委員会が窓口となって全域での移住促進を推進する素晴らしい活動です。これについても答弁でご紹介いただくことができると思います。

https://www.city.tateyama.chiba.jp/gakukyouiku/page000274.html

今回の学校再編は、石井教育長も「統廃合」ではなく、「新しきもの」「より良きもの」を創造する「新しい学校づくり」だと計画の冒頭に書いています。

私は、神余地区はもとより、改めて各地区の地域の維持や住民自治について考える大きな機会にしたいです。

さて、この質問の最後は、学校と地域の関わりについてです。

学校が減るので、学区も広がります。小規模特認校については全域から通うことが可能となります。そこで、学校と地域の関係はどうなるのか?

さらに、いじめや不登校などさまざまな課題が増える学校運営の中で、昨年9月に「コミュニティスクール」について質問しましたので、現段階でどうお考えになっているかもお聞きします。

千葉県内のコミュニティスクールは、昨年時点でR4年度の導入率が17%台でしたが、R5年度の導入率は33%台にまで伸びています。

私は子どもの成長過程で、地域との関わりはとても重要なことだと考えています。そうした研究もたくさんあります。

しかし、学校がなくなってからの地域はさらに衰退が加速していくことが予想されます。

だれがどのように地域を維持・運営していくのでしょう?

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★地域運営組織について

さて、話は変わりますが、私はこの1年、さまざまな観点から将来の自治体運営について私なりに学びながら、色々な場で討議してきました。

そこで多くの議論が「地域運営組織なるもの」に収斂していきました。

地域運営組織とは、RMO(Region Management Organization)とも表記される地域運営の在り方です。

総務省によると、地域運営組織とは、「地域の暮らしを守るため、地域で暮らす人々が中心となって形成され、地域内の様々な関係主体が参加する協議組織が定めた地域経営の指針に基づき、地域課題の解決に向けた取組を持続的に実践する組織です」。

これを読んでも「はい?」な感じかもしれません。

地域運営組織は、お概ね旧小学校区をエリアとして、住民自らが地域経営を担う主体とも言い換えられると思います。急速な少子高齢化、人口減少は、従来の地域にさまざまな変化をもたらしています。

館山市でも移動支援や買い物支援といった取り組みも行われています。独居高齢者の孤独死も増加しています。介護とか障害といった何らかの行政サービスに該当すれば支援も可能ですが、その予備軍も大幅に増えており、特に郊外では喫緊の課題となっています。

前回の質問では、市内150ある町内会がなり手不足で運営に不安が生じていることを取り上げましたが、これもその一部です。

若手も少なく、制度も形骸化しています。にもかかわらず、課題は増えて複合化しているわけです。

そこで、地域運営組織の出番です。平成28年度には609自治体で3071団体がありましたが、令和5年度には874自治体で7710団体と倍以上に形成されています。(ただし運営形態もそれぞれです)

中には、住民全員が会員に所属するNPO法人となって、年間6000万円以上の事業を組み立てている団体もあります。つまり、単なるボランティアでもなく、理想としては地域で仕事を生み出す仕組みでもあります。

この地域運営組織について、館山市も真剣に考えませんか?というのが今回の質問の本題です。

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★地域協議体と地域運営組織は似て非なるもの?

調べてみると、総務省のリストに館山市の地域運営組織が「1」とカウントされています。「あれ?館山にもあったのか?」と思いました。

これは豊房地区山荻で行われている「山荻お助け隊」という取り組みであることが分かりました。素晴らしい活動です。また、その他にも各地に取り組みが広がっているようです。この点は、答弁でお聞きしたいと思います。

しかし、この活動は、生活支援体制整備事業という福祉分野の取り組みです。社会福祉協議会が中心となって、町内会などとも連携しつつ、お困りごとを住民参加で解決していこうという制度です。

「地域協議体」という組織を形成することが目標となっていますが、この地域協議体が「地域運営組織」としてカウントされているようです。

「ちょっと待てよ?」と立ち止まります。このままいくと、福祉の活動がまちづくりや市民協働の領域にまで広がろうとするが、これは果たして可能なのだろうか?

私が調べた限り、答えは「ノー」でした。そもそも、生活支援体制整備事業は生活支援コーディネーターが中心となって地域に入っていきますが、その目標は個々のニーズに対する支援にあります。

地域運営組織は、より広範なまちづくりや市民協働をも含む領域ですので、無理が生じてきます。館山市の地域運営組織の捉え方は正しいのか?というのが、ポイントの一つです。

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★わがまち防災マップについて

最後の、「わがまち防災マップ」は、今年10月に視察に行った広島市で学んだ取り組みです。

広島市では、平成26年と平成30年に立て続けに甚大な豪雨災害を受けて検証会議を行いました。

提言のコンセプトは次の通りです。
・人命が失われるのを防ぐためには、住民自らが災害の危険性を「我がこと」として認識することが極めて重要
・その後の避難行動については、地域コミュニティの役割が大きい

コミュニティの維持が、人命に関わることであることを明確に示しています。

このまま放置していては、必ずやコミュニティは静かに崩れていきます。それでいいのか。いや、人々の命と財産を守るのが行政の役割ではないでしょうか。

コミュニティ活動の発展は、地域側から自発的に起こることは限りなく少なく、行政のお膳立てが必須です。その方向性を導くのは容易なことではありません。でも、できる限り早期に着手しないと、「手遅れにならないか」。

長文になってしまいましたが、今回の質問で訴えたい趣旨はざっとこうしたことです。内容がてんこ盛りですが、何とか最後まで終えられるようチャキチャキ進めていきたいと思います。