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地域担当職員制度について

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一般質問の2項目は、「地域担当職員制度」についてです。

私も昨年から市議会議員を務め、議会ごとに活動報告のチラシをつくり、自転車で地域を回ってポスティングなどしているわけですが、そこで呼び止められることがあるわけです。

道路や橋など周辺環境はもとより、人知れず悩んでいることを打ち明けられたこともありました。

一方で、議員の職務は何かを考えることもあります。仮に、全ての地域に議員がいれば、地域の困りごとをヒアリングして、市の担当部署におつなぎすることはできるかもしれません。

しかし、その昔は30人いたという市議会議員も今や18人。すでに多くの地域で市議会議員がいません。人口減少、財政難で、今後さらに減る可能性もある。

そもそも、市議が地域にいるかどうかで、地域住民の困り事の解決度が変わっていいものでしょうか。

そんなことを考えていた矢先に知ったのが「地域担当職員制度」でした。地域担当職員制度とは、自治体職員を各地域の担当者として配属し、住民との対話や交流を通じて地域課題の解決に取り組む制度です。

そして、館山市には以前、「行政区職員制度」という名で、この制度があったことを知りました。

もう相当前のことのようで、ネット上の「会議録」には出てきません。しかし、R2年度に、あの房総半島台風で悲惨な状況にあった時に、鈴木順子議員が、この制度を再考してはという質問をなされたことが出てきました。

今はない制度ですが、まずはその内容と廃止の主な理由を伺いたいと思います。

その上で2点目。私は、今後の縮小する社会で「最少の経費で最大の効果を挙げる」ためには、より市全体の体制をシンプルにスマートにしていく必要があると考えます。

住民目線でいうと、最も身近な自治組織は、自治会、町内会です。議会のある基礎自治体が中核的な戦略本部となり、自治会、町内会という最小単位の自治組織が協力し合うことで、困難を乗り越えていけないか。

幸いなことに、館山市の自治会、町内会加入率は、85%と全国平均で見ても高い水準にあります。また、H31年には、市民協働条例も策定されています

一方、会の役職をはじめ、民生委員・児童委員や保健推進委員など、地域の役職もなり手不足の深刻化が全国的な課題になっています。これまでの市の回答を見返しても、啓発活動などの方策しかなく、やはりさらに深刻化するだろうと推測します。

そこで一つの案として考えられるのが、改めて「地域担当職員制度」です。もちろん職員負担は重々考慮しなければならないと思います。

日本国憲法第92条にある通り、「地方自治の本旨」は、「住民自治」と「団体自治」です。住民が自治に参加してこそ、地方自治が活性化します。住民が行政任せにしてばかりでもなく、行政が住民にさまざまな役職を押し付けるだけでもない、協働する適切な体制を模索しなければなりません。

住民自治を維持発展させるためにも、自治会、町内会をサポートする機能として「地域担当職員制度」を切り口に踏み込んでいきたいと思います。

事前の調査では、以前の「行政区担当職員制度」は、職員負担が大変重かったと聞いています。おそらく私がこの質問をしたことで、かつての制度を知っている方は嫌悪感さえ抱いたかもしれません。

しかし、地域自治研究機構がH29年に発表した「地域担当職員制度に関する調査研究」を読むと、この制度の運用が、自治体ごとに大変幅広い内容であることが分かります。(こうした研究は本当にありがたいですね…)

まず、回答した1152自治体のうち、30%が実施しています。実施していたが廃止したは3%ですが、館山市はこの中に入るのかもしれません。

続いて、なぜ制度を導入したのかという点が興味深いです。最も多いのが「総合計画等における住民との協議の重視」とあります。総合計画は、市民とともにつくる計画です。より市民の声を反映させるために制度を運用しているということでしょう。

そして、「まちづくり協議会」などは、この千葉県の近隣市でも増えてきています。それほど、少子高齢化、人口減少の問題が切迫してきていることでもあります。

そして、最後にこの制度の具体的な活動内容です。会議の出席回数を見ると、なんと年間1回が最も多いのです。

地域に職員がおもむく時に、最も心配な点は、陳情のオンパレードになってしまうことです。これは私も市議として経験していること。さまざまな価値観をもつ人が共存している社会ですので、個々の陳情は、よほど緊急性があるものは除いて、全てを受け止めるのは不可能です。

答弁を聞いてみなければ分かりませんが、おそらく以前の「行政区担当制度」は、まさにこの活動であったのではないかと推測されます。

一方、全国の事例をみると年数回の会議の出席です。職員のメインの業務もありますから、その頻度、関わり方には厳格なルールも設ける必要があると考えます。

私のイメージでは、自治会長、町内会長の補佐的なポジションだと思います。あくまで「住民自治」が主であり、その中にさまざまな行政上の制度を理解し、地域と市を結ぶパイプ役として、地域担当職員がいる、という役割がふさわしいと考えます。