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事業仕分け2日目

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館山市で12年ぶりとなる事業仕分け。後半、日曜日に行われた6事業の質疑や評価をまとめます。4人の仕分け人(有識者)も総入れ替えで、特に館山に住むZホールディングス会長の川邊健太郎さんが参加されるということで注目が集まりました🙌

■移住・定住促進事業(雇用商工課)

−移住相談業務委託=要改善

−移住者定住促進助成金=要改善

市内の移住促進団体NPO法人おせっ会に業務委託された移住相談の件数は、昨年度224件で、そのうち移住したのは25組51人。平成28年からの延べ件数ですと相談は1729件で、254組547人ということでした。

一方、仕分け人から人口動態の昨年転入者1952人の移転理由を聞かれると把握していない実態が分かりました。職員の担当課に再三お願いしているという「心の叫び」が漏れる場面もあり縦割り行政の一端を垣間見る場面も。今後この要因分析が進むか問われます。

ちなみに館山は官公庁の出先機関や自衛隊があり、人口の出入りが比較的多いまちです。また国の推計だと移住者一人当たりの年間消費額は250万円ですが、実際には何に消費するかで地域に落ちるお金はだいぶ変化します。地産地消が重要な理由はここにもあります。

長年の活動でデータや分析力が蓄積されており、コミュニティーにつなげるサポートなど幅広い業務を考えると約450万円の委託費に対する効果は高いという説明がありました。

一方、助成金は、家賃助成やUIJターンの就業や起業を支援するものですが、実績件数は昨年度で各6件と多くはありません。実は県北からの希望者が多いのですが、県内ですと制度が適用されない使いにくさや、積極的な広報の不足が指摘されました。そもそも、支援金がインセンティブになっていない可能性も。

館山の優位性は豊かな自然環境と都市部への立地条件の良さ。その意味では仕事付きの移住が可能なまちであり、テレワークが進んだ現代でここにもっと傾注すべきかというヒントもありました。

■起業支援補助金(雇用商工課)=不要・凍結

+関連の企業誘致推進費

事業所の開設や賃借料に補助率1/2で上限24万円の補助が出ます。昨年度実績で9件、今年度は16件の見込みと目標値を超えています。ただ、予算が一定で件数が増えると按分される制約など課題もあります。

一方、企業誘致は、コロナの影響もあったでしょうが、市外企業からの申請がない状況。企業を呼び込むハードルは高く、仕分け人からは「市長が週5日のうち4日都内で営業を行って初めて実現するぐらいのこと」という表現もありました。

半島性で物流の課題もあり製造業などの誘致は現実的ではないと思います。その意味では起業支援金の方が拡大の余地があると考えられます。また例えば駅前の空き店舗活用などは、予算以上に見た目の効果が大きいという指摘もありました。

ここでも雇用発生件数が3年間未調査となっているなど、調査不足の実態が浮き彫りになりました。

■高齢者等配食サービス事業(高齢者福祉課)=要改善

おおむね65歳以上の高齢者や心身障害者に対し、非課税世帯300円、課税世帯450円の自己負担で昼食を届け、安否確認をする事業です。

この3年間で198人から148人まで登録者が減っており、この理由は、亡くなったり施設に入ったりするケースが考えられるとのこと。

そもそも栄養面の支援を考えると昼食だけでいいのか、見守りであればデジタル技術もかなり進んでいるなど質問があり、目的の整理も問われました。

弁当1食当たり配送費込みで848円支出しており、総事業費は1700万円。平成8年からのスキームを今も続けており、もちろんこの事業がなくなったら困る人はいますが、利用者が減少して1人になっても続けられるのか。製造と配送を別にするなど新たな可能性を検討する時期にきています。

■子育て支援施設「元気な広場」の運営(こども課)=要改善

ご存じ、妊婦や未就学前の乳幼児やその保護者を対象とした、子育て支援施設。私も子が小さなころよく通ったものでした。

生活共同組合コープみらいが指定管理者、事業費は国県の補助も含めて2064万円。子育て支援員の資格をもつスタッフが1日5人いて、施設の運営以外に子を預ける橋渡しをするファミリー・サポートセンター事業も行っています。

利用者アンケートの満足度は90%以上と非常に高いものの、未就学児がいる世帯全体の利用状況は3割ほど。積極的な広報も行っているようですが、今後は多様な子育てニーズに応えて土曜休みや17時までの開館時間の変更を検討すべきではという声も上がりました。

ちなみにファミサポ事業では保育施設への送迎が令和元年から0件。この理由は送迎できる方がいないことにあるようです。ニーズは多いそうなので、もし関心のある方がいたらぜひ問い合わせてみてください。少ないですが有償です。

■中・軽度の心身障害者(児)医療費給付扶助費(社会福祉課)=要改善

障害者手帳1、2級の重度障害者は県の補助がありますが、3、4級の中軽度障害者でかつ経済的に困難な方に、市単独で医療費を助成する事業です。

令和4年の受給者は385人で、医療費の助成額は2390万円、人件費含めて約3000万円の事業です。

一方、対象者は約900人に対し4割ほどの利用で、その理由が不明確。また平成27年から一回あたり600円の自己負担となりましたが、その負担額の根拠もあいまいでした。

この事業の特筆すべき点は、昭和48年に始まり、県内で継続している自治体は館山市のみ。他自治体では、障害者に対する国のメニューが拡大するにつれて廃止となってきた経緯があるようです。

会場からは、もしこの事業がなくなったら生活が成り立たなくなる家庭が出てくるという強い訴えもありました。

一方で、財政難の昨今、単独でいつまで継続できるのか、他のメニューも総合的に勘案して持続可能な支援を検討する努力が必要だという指摘がありました。少なくとも対象者に寄り添った細やかな実態調査を進めていってほしいと思います。

■防災行政無線事業(危機管理課)=要改善

市内には134局の子局が設置されていますが、老朽化に伴い更新が必要です。今後10年で120局の更新が必要で、このままだと年間1億円のコストがかかります。

防災無線とは別に、安心・安全メールの登録者は1万4609人(7月時点)、LINE登録者6000人のうち防災情報を受信しているのは約4000人、安心電話は228人。

防災無線はそもそも、場所によって「聞こえにくい」という課題があります。されど、デジタル機器に不慣れな高齢者にとっては数少ない拠り所。また行方不明者情報に防災無線の効果は高いという説明もありました。

スマホをもっていない高齢者が何人なのか、正確な数は把握できていませんが、特に70歳以上はかなりの数。一方、60代以下の所有率は年々上昇しており、まさに過渡期にあります。

現在、代替手段として、タブレット型戸別受信機の可能性が検討されています。これに対し仕分け人からは、日用利用がないと必要な時に電源が入らないなどの可能性が高い。また移動中に使えない面もあるので、それならばスマホを配った方がよいのではという指摘もありました。

こうした状況下で今後も全て更新するのか、または少しずつ減らしていくのか。今年も4局の更新を予定していましたが、事業仕分けのため未計上となっています。

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以上雑駁ですが、前半と合わせて11事業の議論の概要でした。事業仕分けは、判定人の評価がそのまま反映されるわけではなく、今後執行部が評価を参考に検討を進め、最終的には議会で決めることになります。

市民判定人の評価

仕分け人からは、「全般的に基本的な実態調査が足りていない」というが総評がありました。データがないと、雑な議論になりがちです。できるだけ多くの市民が「理解」できる政策を行う基礎に、細やかなデータがあることを改めて気付かされました。また、そのためにはデジタル化は必須だと思います。

市民判定人の感想には、「サービス全てにお金がかかっていたことに今更ながら気づいた」「これほど職員が一生懸命仕事をしていることを知り、胸が熱くなった」「官は平等であらねばならないと思っていたが、選択と集中をしてもよいのではと考えるようになった」などとあり、2日目もすごいことになってました😢

あいさつするZホールディングス会長の川邊健太郎さん

これほど近くで市の事業に触れる機会は他にありません。事業仕分けの意義を体感するとともに、コーディネーターを務めた構想日本の伊藤伸さん(デジタル庁参与)の深い見識と対話力には脱帽でした。できれば数年に一度でも継続していってほしいと思います。誠にありがとうございました!