総務委員会で「採択」された「環境保全団体支援事業補助金の継続を求める請願」が、本会議で8票「賛成」、9票「反対」となり、「否決」となりました。
委員会での結果が本会議で覆された異例の結果となりました。
簡単に今回の請願を振り返ります。
環境保全の活動を行う団体に対し、市は補助金を出しておりました。上限60万円で、対象経費の2分の1という、そこまで大きな補助金ではありません。
今回請願を提出された団体は、20年にわたり補助を受けて活動をしてこられました。
しかし、昨年の事業仕分けで他の補助金と共に対象事業となり、市民判定人34人のうち不要・凍結(他の補助金との統合可)が15人、要改善が11人、国など広域でが4人、現行通りが5人という結果となりました。
事前に研修もあり資料も読み込んだ市民の判定です。やはりこれは一定の民意と受け止めざるをえません。
この件に関して、委員会前に考えを述べた記事はこちら。
市は、この結果を参考に年末に「環境保全団体支援事業補助金」の廃止、「市民協働事業補助金」との統合を通知しました。
これに対して環境保全団体支援事業補助金を受けていた1団体が従来通り継続を求めたのが、今回の請願でした。紹介議員は3人で、多くの方の署名もついていました。
私自身、市民の目で市政をチェックする議員として、市民活動の減退につながる可能性のある事案ですので、非常に苦しい判断を強いられました。もちろん市の意向におもねるつもりも全くありません。
この請願が異色だったのは、事業仕分けを参考にしたプロセスがあるため、「行政」と「市民」という対立に加えて、「市民」と「市民」という構図が重なっていたことです。
事業仕分けは一定の民意と捉えねばなりません。その上で、財政の厳しい今後の行政、永続的な補助は難しく、時限的にすべきだという点は、総務委員会の討論でも述べました。
本会議では2人の賛成討論が通告されていましたので、私も反対討論として通告しました。もちろんこの間も、さまざまな意見を踏まえつつ、請願について考えてきました。
そして本会議では、以下の内容で討論しました。
1:17:50あたりからスタートします。
全文を載せます。
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請願第7号 環境保全団体支援事業補助金の継続を求める請願に対して、反対の立場から討論させていただきます。
改めて、館山の重要な資源である「海」を守ろうと20年以上にわたり活動を続けてこられた方々に敬意を表すとともに、それでも反対討論に立たざるを得ないことに対し、政治の難しさを身に染みて実感しているところです。
ただ私も、一政治家となった以上、重い一票を投じる前に簡潔に自分の思いを述べたいと思います。
委員会でも討論をさせていただき、内容は主に委員長報告にあった通りです。そこで2点、ポイントを付け加えたいと思います。
事業仕分けは、市民判定人の34人中、不要凍結が15人、要改善が11人でした。8割弱が改善を求めたわけです。
市は補助金を廃止したわけではなく、時限的で額も減りますが、市民協働事業補助金に統合して残す選択をとりました。要改善とした民意も一定程度引き受けていると捉えられます。
動画に残っていた仕分けの場面だけでなく、事前に研修もあって資料も読み込んだ方々の意見です。やはり、一定の民意と受け止めざるをえないと思います。
そして、補助が時限的であるとすべきという点です。
補助金の根拠とっている市環境基本条例では、第17条で「自発的な」「民間団体等の活動に対する支援措置」を行なうと、あります。
つまり、自発的な活動を支援する一つの手法が、この補助金だったわけです。また、この支援は、金銭だけではないことは改めて申し添えます。
自発的とは、字義通り市民自らが発案して行う活動です。こうした活動を一つでも多く増やそうという目的のもとにこの補助金がありました。
そこで考えねばならないのは、自発的な活動に永続的な補助が続いてよいのかどうかという点です。
本来自発的な活動は民間の自由な取り組みですから、補助はないはずです。しかし、活動を誘因するためにスタートアップを手助けする意味で補助があった。ここまではわかります。
しかし、その補助が活動の運営資金の一部として捉えられて、永続的に補助が出ているとすれば、これについては多くの方が疑問に思うのではないでしょうか。
補助を受けた団体の推移をみても、自発的な活動団体が増加しているとはいえず、つまるところ、この補助金は当初から制度設計に課題があったと考えざるをえません。
長年、補助を受けていた団体側からすれば、本当に寝耳に水な話だとは思うのです。しかし、この補助金の目的に立ち戻れば、市の財政状況も非常に困難な中で、やはり早晩軌道修正を行わざるをえなかったと思います。
そのため、私は期間に限りのある「市民協働事業補助金」との統合に賛成します。請願の要望については、採択しない立場で反対討論とさせていただきます。
委員長報告とこの点を踏まえて、反対討論とさせていただきます。
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上限60万円というさほど大きな補助金でもありませんが、この請願を認めてしまった場合に、行財政改革への影響は大きいと考えます。請願を出された皆様には、大変心苦しいことですが、ぜひ決算をお読みいただき、どれほど市が厳しい状況にあることかをご理解いただきまして、自立した市民活動として継続していただきたいです。
私も、北条海岸ビーチマーケットというイベントに関わって9年になります。当初イベントは行政の補助がありましたが、数年で終わることがわかっていたので、自立するために、あの手この手の努力をしました。
振り返れば、あの時必死になったことが、今の新しいビーチマーケットを支えていると感じます。補助が時限的であることは、決して悪いことばかりではありません。
また市側には、市民活動に待った!をかけたわけですから、この責任は重いです。より一層の市の内部でのコスト削減、生産性の向上といった身を切る努力を切に願います。