ちょっと、いつもよりさらにお硬い投稿になって申し訳ありませんがw、早いとこ整理しないと内容を忘れてしまいそうなので、「館山市議会基本条例」についてまとめます。
この条例は、市のHPでもちろん公開されていますが、不勉強で、これまでその存在すら知りませんでした。この度、8日に議員内で条例の研修会がありまして、私としてはたいそう興味深い内容でしたので、条例にある「積極的な情報公開」のためにも共有させていただきます。
https://www.city.tateyama.chiba.jp/gikai/page100046.html
まず、この条例はどの自治体も一律にあるわけではなく、議員発議で個々の自治体議員らの度重なる検討の末にオリジナルで制定されています。館山市では、2013年に議会改革特別委員会が発足され、翌年12月の議会で制定、県南では初ということで、先輩議員の功績の一つといえると思います。
研修会の講師は、条例制定に尽力された一人である瀬能孝夫議員。幅広い知見から条例の背景、意義、今後の課題について話がありました。以下、私見も交えながらの殴り書きとなりますので、必ずしも研修の内容と一致していない点をご了承ください。
まず、この条例がなぜあるのか、を理解するには、「まちてそもそもなに?」という問いに立ち戻る必要があります。
世界最古の憲法を生んだアメリカを例にした解説が分かりやすかったです。移民が原野を開拓したアメリカでは、何もない土地に人が集まり、家が建ち、耕し、商売を始め、次々と生活に必要な事業が生まれていきます。
すると当然、個人間のトラブルも起こるし、公共物を建てたり、管理したりしなければならない。初めに住民側でまちを運営するための「契約」があり、同時代の自由と平等の戦いの末、政府が誕生し、憲法、自治憲章が定められました。
一方島国の日本は、民主主義が持ち込まれる以前に封建的な「まち」が先にあったことが大きく異なります。
マッカーサー草案のときには、地方公共団体は「Local Goverment」=「地方政府」との表記が提案されたそうですが、日本政府が反対し「地方自治体」になった経緯もあるようです。
日本国憲法92条には「地方自治の本旨」が明記され、地方自治法も定められてはいますが、日本はあくまで、民主主義も地方自治も後付けで、理念が発揮されていなかったという背景があります。
大きな変化となったのが、2000年の「地方分権一括法」。この法律は、いろいろなところで登場するので、よほどのターニングポイントだったのだと思います。
これにより、ある意味で国に従属してきた地方自治体が、(少なくとも制度上は)対等の立場になりました。首長の権限が強化され、議会の役割も拡大し、責務も重大になりました。2001年には、ニセコ町で「自治基本条例」が制定されることになります。
調べると、日本国憲法では「国民」に主権があることが規定されていますが、「市民」に主権があることは明確化されていないそうです(当たり前か)。自治基本条例により、市民主権を明文化した意義は大きいと思います。
その5年後、議会の基本的原則をまとめた「議会基本条例」が、2006年に北海道栗山町で誕生しました。全国で初めて、住民に開かれた議会の役割が明記された瞬間。その後、少しずつ各地の自治体で、”栗山モデル”を参考に、基本条例が整えられていったようです。
地方自治研究機構によると、自治基本条例が全国の2割強の自治体で制定されているのに対して、議会基本条例は5割強の自治体で制定されているとのこと。
自治基本条例も議会基本条例も、北海道で最初に誕生しているのが興味深いところですね。やはり開拓精神か。
長文になってしまいましたが、何が言いたいかというと、日本は「自分のまちのことは、自ら決める」という感覚が、欧米に比べて低いということです。その上で、地方自治に対して議会の役割を明確化した、議会基本条例というのは大変重要な意義があるのです。
条例というと一般生活ではなじみが薄いものですが、あいまいな人の理想とか理念を明文化することで、人々の行動や活動の指針を示す強い力、拠り所といえるでしょう。「条例で定められているのですから、従いましょう」みたいにね。
ただし、研修の補足にもありましたが、栗山町の場合は、条例をつくるためではなく、議会改革の「活動」が先にありました。その後全国で進められている条例は、制定が目的となっているため、本領を発揮していないともいいます。あくまで、条例は手段であり、目的の達成が問われます。
栗山町の「議会基本条例」制定に関して次の記事を見つけました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ff4fa7d6d75014d0b7a8fddb4bb56b62c7326cc7?page=2
この記事の結びには、「今まで経験したことがない人口減少時代に入り、これから地方議会が試される」とあります。その通りだと思います。
とにかく、選挙前に「議員に何ができるのだろう?」と私自身何度も問いかけましたが、この議会基本条例を先輩議員がつくってくださったことに感謝です。これがあることで、堂々と「議会にやれることはある!」と言い切れます。
一方、市民の代表として選ばれた議員であったとしても、一人では何もできません。私もまだまだ新参者ではありますが、この条例を根拠として、少しずつでも議会改革、議会活性化に貢献できたら本望です。
そして「議員は条例をつくるプロであるべき」という話もありまして、実際に「地産地消条例」や「政治倫理条例」が制定されています。条例制定の意義は、市民福祉の向上です。条例については大きなテーマとして、今後学びを深めていきたいと思います。