
会派「市民クラブ」の行政視察で2月18日、徳島県美波町の赤松地区RMO推進協議会を訪問しました。今回の視察は、人口減少と高齢化が進む中山間地域において、地域住民主体で地域運営を行う「農村RMO(地域運営組織)」の実践を学ぶことが目的です。
館山市の神余地区で農村RMOの立ち上げを検討していることから、実際に運営が始まっている地域を視察させていただきました。神余地区からRMO準備委員会のお二人も同行する実践的な視察となりました。
ご多用の中ご対応いただいた磯野副町長、片山副議長、小部委員長はじめ町職員の皆様、誠にありがとうございました。
人口減少が進む中山間地域の現実

赤松地区は山林に囲まれた標高約150メートルの集落で、かつては林業と稲作によって地域が支えられていました。しかし木材価格の低迷や担い手不足により産業は縮小し、人口減少と高齢化が急速に進んでいます。
現在は約180世帯、人口約350人、高齢化率は約55%。学校の統廃合や子どもの減少も進み、全国の多くの農村地域と同様、「地域をどう維持していくか」が大きな課題となっています。
農地管理の担い手不足、買い物や移動手段の問題などが顕在化し、「このままでは地域が立ち行かなくなる」という危機感が、RMO設立の出発点でした。
農村RMO設立のきっかけ
赤松地区ではもともと「中山間地域等直接支払制度」を活用し、農地保全活動が行われていました。しかし参加者の高齢化により活動継続が難しくなり、広域連携による新たな組織づくりが模索されました。

約100ヘクタールの農地を対象とした協議体を形成し、それを基盤として農村RMO事業に応募。国の制度を契機に、
・地域課題の共有
・ワークショップによる将来ビジョンづくり
・集落横断の組織形成
が進み、赤松地区RMO推進協議会が立ち上がりました。
協議会には自治会、女性部、壮年団、伝統文化保存団体など地域の既存組織が幅広く参加しており、「地域のほぼ全員が関わる仕組み」がつくられている点が印象的でした。
草刈りから始まった地域運営
RMOの取組で最も成果が出ているのが農地管理です。
住民アンケートで最も多かった困りごとは「草刈り」と「農地管理」でした。そこでRMO事業を活用し、ラジコン草刈機のリースや草刈機などを整備し、約15名による草刈作業隊を組織しました。


農家個人の負担ではなく、地域全体で共同作業として取り組む仕組みにしたことで、高齢者でも農地を維持できる体制が整いました。
機械の管理や予約も住民同士で行い、行政に依存しない運営となっている点は非常に参考になりました。「できることから始める」という姿勢が、地域の合意形成につながっているように感じました。
地域資源を活かした交流づくり
赤松地区では農業だけでなく、地域文化の継承にも力を入れています。
手作り花火や人形浄瑠璃などの伝統文化を支援しながら、地域産品の産直市を開催。年数回行われる産直市には地域住民だけでなく通過する人も立ち寄り、小さな交流の場が生まれていました。

大きな観光事業ではなく、「地域の日常を少し開く」ような取組が印象的でした。
難しい「生活支援」の課題
一方で、買い物や移動支援といった生活支援分野はまだ模索段階とのことでした。
移動支援は人手や運営負担が大きく、他地域事例を研究しながら検討を進めている状況です。RMOの中でも生活支援は難易度が高い分野であることを実感しました。
補助金事業の現実と課題
興味深かったのは、事務運営の難しさです。
当初は事務職員を雇用したものの、社会保険手続きや補助金事務の負担が大きく、結果として住民主体で運営する形へ移行したとのことでした。
補助金は資金面では支えになりますが、小規模地域では事務負担が非常に大きいという現実も学ぶことができました。
事業終了を見据えた法人化
赤松地区では、RMO事業終了後も活動を続けるため、一般社団法人「源流の郷赤松」を設立しています。
機械や資産の受け皿となり、事業継続主体として機能させることで、補助金が終わっても地域活動が続く仕組みを整えています。
RMOを単年度事業で終わらせないための重要な設計だと感じました。
視察を通して感じたこと

赤松地区の取組は、補助金を使った地域事業というより、「地域が自分たちで地域を維持する仕組みを取り戻す挑戦」でした。
特に印象に残ったのは、
・既存制度を土台に組織化していること
・小さな課題から着実に成果を積み上げていること
・事業終了後まで見据えていること
の三点です。
人口減少社会では、行政サービスだけで地域を支えることは難しくなります。だからこそ、地域自身がマネジメントを担う仕組みが必要になる。その現実を強く感じた視察でした。
神余地区でも、まずは共通課題である農地管理など「できるところから」始め、小さな成功体験を積み重ねていくことが重要だと感じています。
今回得た学びを、今後の農村RMO設立と地域運営づくりにしっかり活かしていきたいと思います。