
ようやく録画していたNHKスペシャルドラマ「シミュレーション」を見ることができました。これは、たまに父から届くおすすめ情報で知ったものです。
舞台は太平洋戦争前。日本中から若手エリートが集められ、内閣総理大臣直轄の「総力戦研究所」が開設されたという史実に基づくドラマです。
各機関からの機密情報をもとに模擬内閣をつくり、戦況がどうなるか徹底したシミュレーションが行われました。彼らが導き出した結論は――「必敗」。それでも、なぜ軍部は戦争を強行したのでしょうか。
驚かされるのは、彼らの推論が結果的に、ほぼ現実となったことです。原子爆弾の投下を除けば。正確な推論にもかかわらず、東條英機陸軍大臣は「机上の空論と実戦は違う。日本は日露戦争にも勝った。精神力が大事だ」と言って退けてしまいます。
一方で東條自身もまた、天皇陛下の平和への想いを実現すべく、戦争を回避する道を模索する姿も描かれます。しかし結局、近衛総理は軍部に責任を押しつけて総辞職。皇族内閣の構想も押し返され、東條内閣が誕生しました。
当時の日本は、すでに多大な犠牲を出した満州から引き返すという英米の要求を受け入れられず、一度生まれた「空気」を変えられませんでした。陸海軍も新聞も世論も、東條を「腰抜け」と蔑み、流れを止めることはできなかったのです。
この物語から導かれる反省は、やはり不都合な真実から目を背けないこと、そして徹底的に数字や科学的根拠に基づく政策を推進する努力だと思います。それは、「人口減少」という今の窮地にとっても同じこと。
さらに忘れてはならないのは、指導者だけでなく世論そのものが大きな影響を与えたという事実です。昨今のSNSをはじめとする自由な言論を否定するつもりはありませんが、ファクトチェックを前提とした情報社会を心から願います。