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「やわたんまち」の百の話

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館山市の大西純夫さんが執筆・制作された『やわたんまち〜どうでもいい百のお話〜』を読みました。

大西さんは、私も所属する南総祭礼研究会の会長で、長年地域の祭礼文化についてさまざまな知見を授けてくださっています。結構連絡取り合っているのに突然、本ができていたので、驚きました笑

「やわたんまち」とは改めて、安房国司祭・鶴谷八幡宮例大祭のこと。安房最大の祭りであり、例年何万人もの参加者と観客で賑わいます。千年以上の歴史を持つと言われる祭りらしく、その奥深さにはため息が出ますが、口伝の伝承は裏を取るのが難しく、この本は、歴史的資料としてもとても価値の高いものと推察します。

それを「どうでもいい」と言い切ってしまうのがユーモアたっぷりの大西さん。いや、お祭り文化では「粋」と表現するのかもしれません。

ご本人がデザイナーだからこそ、文章だけでなく細部まで自らつくり上げたということですが、「東くん、私がこれまで働いてきたのは、この本をつくるためだったんだよ」と、その嘘かほんとか分からない笑顔がいつも大好きですw

以前ブログでも書きましたが、仕事でもプライベートでもない「人のつながり」で老若男女が集い、役割を持って関わる——そのコミュニティとしての祭りの力は他に代えがたいものがあります。移住者の私から見ると、本当に羨ましい文化です。

さらに、山車や屋台、神輿に施された彫刻の美しさも圧巻。祭り装束を着て神社へ集まると、まるで江戸・明治の時代にタイムトリップしたような感覚に包まれます。

私自身、長須賀の祭りに参加してまだ3年目ですが、組織力の高さには驚くばかりですし、この「トリップ感」は何度味わっても新鮮です。

やわたんまちを、長年密着し、古老を取材してきた大西さんだからこそ語れる百のお話。未来の祭りを担う人たちへのメッセージも込められた一冊でした。

宮沢書店、MANDI、風六堂などで販売されているそうです。やわたんまち、そして房州の祭り文化に関心のある方は、ぜひ手に取ってみてください。